1972

1972年(昭和47年)  

・(1月13日)力道山亡き後の日本プロレスを永久追放されたアントニオ猪木らが、新日本プロレスを設立、8月には、ジャイアント馬場らが、全日本プロレスを設立
・(2月03日)冬季五輪(第11回)札幌大会開幕 銀盤の女王は、シューバ(オーストリア)

・(1月28日)警視庁、日活ロマンポルノ「愛のぬくもり」「恋の狩人・ラブハンター」「OL日記・牝猫の匂い」「女高生芸者」の4本を猥褻文書配布容疑で摘発し、日活本社、映倫事務所を捜索 日活および映倫が刑事責任を問われる(日活ロマンポルノ裁判)起訴された被告は全員無罪が確定
・(2月02日)敗戦を知らずにグアム島の密林で28年間潜伏の横井庄一さん発見「恥ずかしながら」と日本に帰還
・(2月02日)北アイルランド・ロンドンデリーでカトリック系住民と英治安部隊が衝突(血の日曜日事件)
*題材映画「ブラディ・サンデー」(ポール・グリーングラス2002)、「ベルファスト71」(ジャック・オコンネル2014)
・(2月19日)連合赤軍、浅間山荘(人質立てこもり)事件
*題材映画「光の雨」(高橋伴明2001)、「突入せよ!「あさま山荘」事件」(原田真人2002)、「実録・あさま山荘への道程」(若松孝二2007)
・(3月27日)横路孝弘社会党議員、沖縄復帰をめぐる「沖縄密約極秘文書」暴露
・(4月04日)外務省機密漏洩事件で、外務省事務官と毎日新聞記者、西山太吉を逮捕
*題材映画「密約 外務省機密漏洩事件」(千野皓司1988)

・(2月19日)米のジャズ・トランペット奏者 リー・モーガン(33)、愛人のヘレンに射殺される
*題材映画「私が殺したリー・モーガン」(カスパー・コリン2016)

・(3月02日)明治~昭和期の浮世絵師・日本画家 鏑木清方(93)、死す
 

・(3月15日)奈良県明日香村で、極採色の「高松塚古墳壁画」発見

・(4月16日)作家 川端康成(72)、自殺
*原作映画「舞姫」「山の音」(成瀬巳喜男1951.1954)、「千羽鶴」「眠れる美女」(吉村公三郎1953.1968)、「雪国」(豊田四郎1957)、「女であること」(川島雄三1958)、「伊豆の踊子」(川頭義郎1960)、「古都」(中村登1963)、「美しさと哀しみと」(篠田正浩1965)、「女のみづうみ」(吉田喜重1966)、「千羽鶴」(増村保造1969)他

・(5月08日)浮世絵師・日本画家 伊東深水(74)、死す

・(5月15日)沖縄の施政権返還、沖縄県が誕生
・(5月25日)井上陽水、デビューアルバム「断絶」発表、アルバム「陽水Ⅱセンチメンタル」発表(12月10日)、ロンドンでレコーディングされた3枚目「氷の世界」(1973年12月1日発表)は、日本初のミリオンセラー・アルバムに
・(5月26日)東京都練馬区石神井南中学で、光化学スモッグの被害で13人が入院
・(5月30日)テルアビブ空港襲撃事件 突然自動小銃を乱射 26人死亡
・(6月05日)ストックホルムで第1回国連人間環境会議開催、テーマは「Only One Earth(かけがえのない地球)」
・(6月11日)田中角栄(当時通産相)が「日本列島改造論」発表
・(6月14日)「中絶禁止法反対、ピル解禁要求の女性解放連合」(中ピ連)結成
・(6月17日)「ウォーターゲート事件」発覚 1974年8月8日 ニクソン大統領辞任
*題材映画「大統領の陰謀」(アラン・J・パクラ)、「ニクソン」(オリバー・ストーン)、「プロストX ニクソン」(ロン・ハワード2008)、「ザ・シークレットマン」(ピーター・ランデズマン2017)
・(7月05日)荒井由美、デビューシングル「返事はいらない」発表 ファーストアルバム「ひこうき雲」発売(1973年11月20日)

・(6月25日)「ぺトラ・フォン・カントの苦い涙」(ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー)公開 1960年後半から始まる「ニュー・ジャーマン・シネマ」が本格的に 1980年代まで続く
•「自由の代償」「ベロニカ・フォスのあこがれ」(ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー)
•「アギーレ/神の怒り」「ノスフェラトゥ」「フィッツカラルド」(ヴェルナー・ヘルツォーク)
•「秋のドイツ(共同監督)」(アレクサンダー・クルーゲ)
•「テルレスの青春」「ブリキの太鼓」(フォルカー・シュレンドルフ)
•「都会のアリス」「まわり道」「さすらい」「パリ、テキサス」(ヴィム・ヴェンダース)等

・初の外国出身の外国籍の関取となったハワイのマウイ島出身の高見山、7月場所で史上初の外国出身力士として幕内最高優勝を果たす 貴ノ花との対決は、弁慶と牛若丸のそれに譬えられ人気を博した(1980年九月場所では“髷の一戦”)

・(8月26日)五輪(第20回)ミュンヘン大会開幕 パラリンピック(第4回)ハイデルベルク大会 五輪体操女王は、リュドミラ・ツリシチェワ(ソ連) 五輪村にアラブ・ゲリラが侵入(9月5日)銃撃戦で人質のイスラエル選手ら犠牲に
 男子バスケットボール決勝米ソ戦 残り3秒時計が戻されソ連が逆転勝ち 不服とした米チームは表彰式の出場と銀メダルの受取を拒否
*題材映画「時よとまれ、君は美しい/ミュンヘンの17日」(市川崑他8人)、「黒い九月」(ウィリアム・A・グレアム1976)、「ミラクル」(ギャヴィン・オコナー2004)、「ミュンヘン」(スティーヴン・スピルバーグ2005)

・(8月04日)横浜市の飛鳥田一雄市長ら 道路に座り込み横浜港からベトナムに送られる戦車の搬送を阻止(闘争は100日続く 村雨橋事件)
*題材映画「戦車闘争」(辻豊史2020)
・(9月21日)マルコス大統領 フィリピン全土に戒厳令を布告(1981年解除)
・(9月29日)田中角栄首相・大平正芳外務大臣訪中 日中共同声明で国交正常化 日本は戦争で中国に損害を与えたことを反省し、中国政府は対日賠償請求権を放棄「日台講和条約は失効」と表明し、日本と台湾の外交関係が終了
・(10月28日)日中国交回復を記念して中国からパンダのカンカン(康康♂)とランラン(蘭蘭♀)が中国から贈られ、上野動物園で公開される(11月5日)

・(10月03日)米、デニス・バンクスらの「アメリカインディアン運動(AIM)」が「破られた条約のための行進」に出発 AIMの基本綱領となる「二十か条の声明文」成立、そして「BIA(内務省インディアン管理局)本部ビル占拠抗議」に至る(11月3日)
・(10月13日)「ウルグアイ空軍機571便遭難事故」航空管制のご誘導によりアンデス山脈に墜落し、乗員乗客45人中29人が死亡
*題材映画「アンデスの聖餐」(アルバロ・J・コバセビッチ1975)、「アンデス地獄の彷徨」(レネ・カルドナ1976)、「生きてこそ」(フランク・マーシャル1993)、「Alive:20 Years Later」(ジル・フレートン・スミス1993)、「アライブ生還者」(ゴンサロ・アリホン2007)
・(10月17日)前年に金大中を破り大統領三選を果たし「北朝鮮による南侵の脅威」を理由に「国家非常事態宣言」を布告した朴正煕が、「非常戒厳令」を宣布(10月維新)
「去る10月17日の夕方から突然始まった戒厳令下の韓国の状況については、誰も語る自由をもっていない。」で始まる「韓国からの通信(T・K生)」が1973年5月号の「世界」から連載が始まる

・素九鬼子の処女作「旅の重さ」世に出る
*原作映画「旅の重さ」(斎藤耕一1972 高橋洋子(19)・秋吉久美子(17)のデビュー作)、「大地の子守歌」(増村保造1976)、「パーマネント・ブルー真夏の恋」(山根成之1976)
・有吉佐和子、「恍惚の人」発表
*題材映画「恍惚の人」(豊田四郎1973)
・山崎朋子、九州地方の「からゆきさん」の聞き書き「サンダカン八番娼館 底辺女性史序章」発表
*題材映画「サンダカン八番娼館 望郷」(熊井啓1974)
・(11月13日)演出家杉本良吉と厳冬の地吹雪の中、樺太国境を超えてソ連に逃避行(1938年1月3日)の「スキャンダル女優」岡田嘉子 一時帰国
*出演映画「男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け」(山田洋次1976)、「オレンジロード急行」(大森一樹1978)、「皇帝のいない八月」(山本薩夫1978)、「ドン松五郎の生活」(中田新一1986)

・100年前(1872年)、明治政府は、琉球国を琉球藩、国王尚泰を琉球藩主に(第一次琉球処分)また、1879年には、王族士族の抵抗(サンシー事件など)を退け、沖縄県を設置(第二次琉球処分)
*題材映画「琉球王国MADE IN OKINAWA」(木下蓮三/小夜子2004)、「劇場版テンペスト3D」(吉村芳之2012)

・映画「ハーダー・ゼイ・カム」(主演:ジミー・クリフ 同時にサントラ盤も)公開、翌1973年にはボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズのメジャーデビューアルバム「キャッチ・ア・ファイア」発売、1974年にはエリック・クラプトンが「アイ・ショット・ザ・シェリフ」をカバー レゲエ楽曲が世界的に認知される
*関連映画「ハーダー・ゼイ・カム」(ペリー・ヘンゼル1972)、「ロッカーズ」(セオドロス・バファルコス1978)、「クール・ランニング」(ジョン・タートルトーブ1993)、「ラフン・タフ~永遠のリディムの創造者たち~」(石井”EC”志津男2006)、「ルードボーイ トロージャン・レコーズの物語」(ニコラス・ジャック・デイヴィス2018)、「ボブ・マーリー:ONE LOVE」(レイナルド・マーカス・グリーン2024)

・「マーロン・ブランドのアカデミー賞辞退事件」「ゴッドファーザー」でのアカデミー主演男優賞の授賞式に"インディアン女性"が代理出席、人種差別問題を提議 この事件以降、西部劇から単純な悪役としてのインディアンは姿を消した この様子を見聞きしていたジョン・ウェインは激怒
・(12月15日)「ラストタンゴ・イン・パリ」(ベルナルド・ベルトルッチ )公開 本国イタリアでは公開後4日にして上映禁止処分(1978年解禁)主演の二人、マーロン・ブランドとマリア・シュナイダー は、映画出演をしたことで波乱の人生を送ることに

・第33回ヴェネツィア映画祭 1969年から1979年までの10年間は賞の審査が行われなかった
・第25回カンヌ映画祭パルム・ドール「労働者階級は天国に入る」(エリオ・ペトリ)、「黒い砂漠」(フランチェスコ・ロージ)
・第23回ベルリン映画祭金熊賞「遠い雷鳴」(サタジット・レイ)
・第46回キネマ旬報ベストワン「忍ぶ川」(熊井啓)、「ラスト・ショー」(ピーター・ボグダノヴィッチ)
・第45回アカデミー作品賞「ゴッドファーザー」(フランシス・フォード・コッポラ)、外国語映画賞「ブルジョワジーの秘かな愉しみ」(ルイス・ブニュエル)
・第14回グラミー賞最優秀アルバム賞「Tapestry(つづれおり)」(キャロル・キング)
・ハインリッヒ・ベル(独の作家)がノーベル文学賞受賞 平和賞は、受賞者なし