1974

1974年(昭和49年)  

・(1月07日)田中首相、東南アジア5ヶ国歴訪に出発 バンコクで「経済侵略反対」「タナカ、カエレ」と叫ぶ学生らの激しい反日デモ ジャカルタでは学生の反日デモが暴動状態に(マラリ事件)
 こうした動きに対応して、1977年「福田ドクトリン」を発表し、日本が軍事大国にならないこと、東南アジア諸国との間で「心と心の触れ合う相互信頼関係」を築くこと、東南アジア全域の平和と繁栄に寄与することを表明 また同年「日・ASEAN首脳会議」を立ち上げる
・(1月15日)西沙諸島(パラセル諸島)をめぐる中国とベトナム共和国(南ベトナム)の戦い 互いに領有権を主張し、中国が多数の施設を建設し、軍事的に緊張

・(2月13日)ソルジェニーツィン、ソ連当局に国家反逆罪で市民権を剥奪され、西ドイツのフランクフルトに国外追放処分を受ける 1973年8月中旬にはル・モンド紙、AP通信記者との会見で「私が急死したと聞いたら、国家保安委員会の仕業だ」と衝撃的な発言を行う ソ連崩壊後の1994年に帰国
*原作映画「イワン・デニーソヴィチの一日」(キャスパー・リード1971)
・(3月12日)フィリピン・ルバング島から小野田寛郎帰国「天皇陛下万歳!」と
*題材映画「ONODA 一万夜を越えて」(アルチュール・アラリ2021)
・(4月03日)全国的に反独裁・反体制運動が盛り上がりを見せる中、全国民主青年学生総連盟の構成員を中心とする180人が、韓国中央情報部(KCIA)によって拘束され、非常軍法会議に起訴される(民青学連事件)公判では金芝河らに死刑が一旦宣告される 2005年12月7日韓国国家情報院「KCIAによる捏造であった」とする調査結果を発表
・(4月25日)ポルトガル ほとんど無血のカーネーション革命(リスボンの春)独裁体制終了 この革命を契機に多くのアフリカ、アジアの植民地が独立を達成した
 (ポルトガルから独立):ギニアビサウ(1974年9月)、モザンビーク(1975年6月)、アンゴラ、サントメ・プリンシペ、カーボベルデ(1975年11月)
 東ティモールから撤退(1975年)
・(5月15日)東京都江東区にコンビニエンス・ストアの第1号店「セブンイレブン」(豊洲店)がオープン
・(5月24日)米のジャズの作曲家 ピアニスト、バンドリーダー、デューク・エリントン(75)、死す

・(5月31日)写真家 木村伊兵衛(72)、死す

・(4月13日)100年前(1874年)のこの日、佐賀藩出身の江藤新平(40)、佐賀の乱で敗走し裁判の上、刑死(維新の十傑の一人)辞世の句「ますらおの 涙を袖にしぼりつつ 迷う心はただ君がため」

・(6月13日)1974FIFA W杯(第10回)西ドイツ大会開幕 優勝:西ドイツ 準優勝:オランダ

・(6月26日)「エマニエル夫人(Emmanuelle)」(ジュスト・ジャカン1974)公開 パリでの上映(オリジナル・ノーカット版)をわざわざ見に行く日本人、その数多し
*監督作品「エマニエル夫人」(1974)、「O嬢の物語」(1976)、「マダムクロード」(1977)、「ガールズ」(1981)、「チャタレイ夫人の恋人」(1982)、「ゴールド・パピヨン」(1984)

・(6月30日)足尾鉱山鉱毒問題が公害等調整委員会の調停成立 古川鉱業が15億5千万円の補償金を支払い解決、田中正造の運動から80年ぶり
*題材映画「赤貧洗うがごとき 田中正造と野に叫ぶ人々」(池田博穂2006)
・(7月04日)第53代横綱・琴櫻引退 第52代横綱・北の富士引退(7月8日)、第54代横綱・輪島が一人横綱に(名古屋場所)北の湖が第55代横綱に(7月24日)
・(8月15日)韓国、ソウル国立中央劇場での独立記念式典の演説中、朴正煕大統領狙撃され、流れ弾で夫人の陸英脩が死亡 犯人は大阪在住の韓国人 文世光
・(8月30日)「三菱重工爆破事件」8人死亡 約380人重軽傷「東アジア反日武装戦線 狼」が犯行声明 その後「大地の牙」「さそり」といった別働隊も現れ、翌年5月までの間に旧財閥系企業や大手ゼネコンを標的とした爆破事件が相次ぐ
*題材映画「狼をさがして」(ドキュメンタリー キム・ミレ2020)

・(9月02日)エチオピア 陸軍クーデター エチオピア帝国最後の皇帝ハイレ・セラシエ1世を廃位し社会主義を宣言するも恐怖独裁政治へ その後、数十万人が殺害されたとされるエチオピア内戦、エリトリア独立戦争(1993年独立)、隣国ソマリアとのオガデン戦争へ 
*関連映画「エチオピアの空を行く」(L・ウェスラー 1934)、「テザ 慟哭の大地」(ハイレ・ゲリマ2008)、「おいしいコーヒーの真実」(ニック・フランシス、 マーク・フランシス2006)、「DIFRET」(2015)

・ハンガリーの建築学者ルビク・エルネー(エルノー・ルービック)立体パズル ルービックキューブ(英: Rubik's Cube)を考案
・(9月10日)ラロック元海軍少将が米議会で「米艦は日本寄航の際、核武装を解かない」と証言 入港艦船に非核証明を求める「神戸方式」はこの時生れた
(10月06日)「宇宙戦艦ヤマト」(~1975年3月30日全26話/日本テレビ)放映始まる

・(9月14日)巨人の長嶋茂雄、引退「わが巨人軍は永久に不滅です」と 川上監督勇退し、後任に長嶋監督(背番号3は永久欠番に)(11月21日)翌年、最下位

・(10月05日)「傷だらけの天使」(~1975年3月29日全26話/日本テレビ)放映始まる

・(10月30日)モハメッド・アリVSジョージ・フォアマン(キンシャサの奇跡 王座返り咲き)ベトナム戦争への徴兵を拒否したことから無敗のままWBAWBC統一世界ヘビー級王座を剥奪される その後、最高裁で無罪を勝ち取るが3年7ヵ月間のブランクを作る 1971年3月8日ジョー・フレイジャーに挑戦し始めて敗北 フレイジャーに代わる新王者がフォアマン 黒人差別に対し批判的な言動を繰り返すなど公民権運動に貢献(2016年6月03日死す74歳)
*題材映画「アリ/ザ・グレーテスト」(トム・グライス)、「モハメド・アリ かけがえのない日々」(レオン・ギャスト1996)、「モハメド・アリ/チャンピオンへの道」(ジム・ジェーコブス)、「モハメド・アリ 世界が見た王者」(フィル・グラブスキー)、「Ali」(マイケル・マン)、「フェイシング・アリ」(ピート・マコーマック2009)

・(11月04日)甲斐バンド、デビューシングル「バス通り」発表 (12月20日)デビューアルバム「らいむらいと」発表
*関連映画「照和 My Little Town / KAI BAND」(フカツマサカズ2010)
・(11月09日)「第十雄洋丸事件」東京湾LPGタンカー衝突炎上事故 海上自衛隊の対潜哨戒機および護衛艦等による砲撃等でタンカーを撃沈処分(11月28日)

・(11月13日)伊の映画監督 ヴィットリオ・デ・シーカ(73)、死す
*監督作品「子どもたちは見ている」(1944)、「靴みがき」(1946)、「自転車泥棒」(1948)、「ミラノの奇跡」(1951)、「終着駅」(1953)、「ふたりの女」(1960)、「昨日・今日・明日」(1963)、「ああ結婚」(1964)、「ひまわり」(1970)、「悲しみの青春」(1971)、「旅路」(1974)他

・(12月05日)伊の映画監督 ピエトロ・ジェルミ(60)、死す
*監督作品「越境者」(1951)、「街は自衛する」(1951)、「鉄道員」(1956)、「わらの男」(1957)、「刑事」(1959)、「イタリア式離婚狂想曲」(1961)、「誘惑されて棄てられて」(1963)、「蜜がいっぱい」(1965)他

・(12月15日)ロシア出身の映画監督 アナトール・リトヴァク (72)、死す
*監督作品「うたかたの戀」(1936)、「黄昏」(1938)、「凡てこの世も天国も」(1940)、「ザ・バトル・オブ・チャイナ」(1944 共同監督)、「蛇の穴」「私は殺される」(1948)、「愛情は深い海のごとく」(1955)、「追想」(1956)、「旅」(1958)、「さよならをもう一度」(1961)、「将軍たちの夜」(1967)、「殺意の週末」(1970)他

・秦始皇帝陵を取り巻くように配置されている「兵馬俑坑」が西安郊外で発見される

・100年前の1874年、後に「第1回印象派展」と呼ばれる私的な展示会が開催される 
参加画家:カミーユ・ピサロ(1830.7.10~1903.11.13)、エドガー・ドガ(1834.7.19~1917.9.27)、アルフレッド・シスレー(1839.10.30~1899.1.29)、ポール・セザンヌ(1839.1.19~1906.10.22)、クロード・モネ(1840.11.14~1926.12.5)、ベルト・モリゾ(1841.1.14~1895.3.2)、ピエール=オーギュスト・ルノワール(1841.2.25~1919.12.3)、アルマン・ギヨマン(1841.2.16~1927.6.26)

・米のホラー小説家 スティーヴン・キング、デビュー作「キャリー」発表
・原作映画「キャリー」(ブライアン・デ・パルマ1976)、「シャイニング」(スタンリー・キューブリック1980)、「炎の少女チャーリー」(マーク・L・レスター1984)、「スタンド・バイ・ミー」「ミザリー」(ロブ・ライナー1986、1990))、「ショーシャンクの空に」「グリーンマイル」(フランク・ダラボン1994、1999)、「痩せゆく男」(トム・ホランド1996)、「ビッグ・ドライバー」(ミカエル・サロモン2014))、「ダーク・タワー」( ニコライ・アーセル2017)他

・フォークグループ「赤い鳥」解散 その後それぞれ、「紙ふうせん」「ハイ・ファイ・セット」「ハミング・バード」に分裂

・週刊少年チャンピオンで‘本格的ギャグ漫画の草分け的存在’「がきデカ」連載始まる

・原田美枝子(13)、「ともだち」(澤田幸弘)、「恋は緑の風の中」(家城巳代治)、「炎の肖像」(藤田敏八、加藤彰)でデビュー 1976年には「凍河」「大地の子守歌」「パーマネント・ブルー真夏の恋」(山根成之)、「青春の殺人者」(長谷川和彦)、「北の宿から」(市村泰一)

・ヴェネツィア映画祭 1969年から1979年までの10年間は賞の審査が行われなかった
・第27回カンヌ映画祭パルム・ドール「カンバセーション…盗聴…」(フランシス・フォード・コッポラ)
・第25回ベルリン映画祭金熊賞 「Adoption」(マールタ・メーサーロス)
・第48回キネマ旬報ベストワン「サンダカン八番娼館 望郷」(熊井啓)、「フェリーニのアマルコルド」
・第47回アカデミー作品賞「ゴッドファーザーパートⅡ」(フランシス・フォード・コッポラ)、外国語映画賞「フェリーニのアマルコルド」(フェデリコ・フェリーニ)
・第16回グラミー賞最優秀アルバム賞「Innervision(インナーヴィジョンズ)」(スティヴィー・ワンダー)
・エイヴィンド・ユーンソンとハリー・マーティンソン(共にスウェーデンの作家)がノーベル文学賞受賞
・ショーン・マクブライト(アイルランド)と佐藤栄作がノーベル平和賞受賞