1958

1958年(昭和33年)

・(1月20日)大日本製薬がサリドマイドを配合した「イソミン」発売 1958年ごろから薬害が報告されていたが、販売停止と製品回収は、1962年9月18日(ドイツでの回収開始から294日後)その後、サリドマイド損害賠償請求訴訟に

・(2月26日)近代日本画壇の巨匠 日本画家 横山大観(89)、死す

・(2月01日)韓国から抑留漁民300人第1次帰国 第2次帰国(2月28日)
・(2月01日)エジプト共和国とシリア共和国が連合「アラブ連合共和国」成立(1961年にシリアが連合を離脱)、ヨルダン王国のフセイン1世とイラク王国のファイサル2世、アラブ連合に対抗するヨルダン=イラク同盟「アラブ連邦」設立(2月14日 イラクの「7月14日革命」で瓦解)
・(5月00日)ラオスにてフランス傀儡の王国政府とパテト・ラオ(ラオス人の国)内戦勃発
・(5月13日)アルジェリア駐留フランス軍、本国政府に反旗を翻す(5月13日事件) 国民投票でフランス第5共和制成立(10月)ド・ゴール初代大統領に(12月)
・(6月08日)1958FIFA W杯第6回 スウェーデン大会開幕 優勝:ブラジル 準優勝:スウェーデン 17歳のペレがデビュー、6得点を挙げて優勝に貢献
*題材映画「ペレ 伝説の誕生」(ジェフ・ジンバリスト、マイケル・ジンバリスト 2016)

・(3月03日)富士重工業(現・SUBARU)から「日本最初の国民車(大衆車)」「てんとう虫」軽自動車「スバル360」デビュー
・(1959年)英のブリティッシュ・モーター・コーポレーション(BMC)の革命的な大衆車「ミニ(Mini )」(オースチン・セブン及びモーリス・ミニ・マイナーの名で)誕生(その後長く低迷した英自動車工業界の状況を反映し、生産、販売会社の名前は幾度も変わる)
 ラリー仕様車ミニ・クーパー(1964)、クーパーS(1965、1967)モンテカルロ・ラリーで総合優勝
 BMWがローバーを傘下に(1994)、BMC時代のミニをモチーフに「ミニ (BMW)」誕生(2001)

・(6月10日)本州製紙(現王子製紙)江戸川工場の悪水放流で被害を受けた漁民が工場に乱入、機動隊と衝突 重軽傷者143人(江戸川漁業被害・黒い水事件)
・(6月16日)チベットの東部カム地方に、抗中統一ゲリラ組織「チュシ・ガンドゥク」結成される 米CIA及び蒋介石政権から支援を受けるも、チベット蜂起後、武装放棄する
・(7月14日)イラクで軍事クーデター ハーシム王政 国王ファイサル2世殺害、共和制(社会主義国家)を宣言(7月14日革命 イラク王国滅亡)これ以降イラクでは政情不安が続くことに
・(8月03日)世界初の原子力潜水艦ノーチラス号、潜航状態で北極点を最初に通過「ノーチラス、北90度」と信号打電
・(8月00日)甲子園大会沖縄代表(アメリカ統治下)沖縄県立首里高等学校、甲子園の土を検疫の問題で持ち帰れず那覇港にて処分 それを知った日本航空のスチュワーデスが甲子園球場周辺の海岸の石を拾い集めて寄贈

・(7月29日)100年前(1858年)のこの日、大老・井伊直弼を首班とする幕府政権が朝廷の勅許を得ないまま日米修好通商条約に調印し、日本の開国近代化を断行・(11月21日~1859年)安政の大獄 一橋派と尊王攘夷派を一掃するための大粛清・(1860年3月24日)これらの反動を受け、井伊直弼 暗殺される(桜田門外の変)
*題材映画「侍ニッポン」(大曾根辰夫1957)、「侍」(岡本喜八1965)、「武士道ブレード」(トム・コタニ1981)、「桜田門外ノ変」(佐藤純彌2010)

・(8月23日)金門・馬祖島事件 中国人民解放軍が中華民国の同島に砲撃し戦闘に 米軍の介入を招く この年、毛沢東、「大躍進政策」を開始し、人民公社化を推進 1959年と1960年には、「大躍進政策」の失敗と天災が重なり、大規模な飢饉が中国を襲い、2000万人から2億人と言われる餓死者を出し、毛沢東は主席の座を追われる

・(10月12日)100年前(1858年)のこの日、江戸時代後期の浮世絵師 歌川広重(61)、死す 代表作に「東海道五十三次」「江戸名所百景」等

・(10月21日)三原脩の西鉄ライオンズと水原茂の読売ジャイアンツの日本シリーズ、西鉄3連敗の後の4連勝(稲尾和久は、7試合中6試合に登板し、4試合完投 4勝2敗)で逆転日本一 地元の新聞「神様、仏様、稲尾様」と

・(11月23日)「地下鉄サム」「怪傑ゾロ」シリーズで知られる米の作家 ジョンストン・マッカレー(75)、死す
*原作映画「怪傑ゾロ」(フレッド・ニブロ1920)、「怪傑ゾロ」(ルーベン・マムーリアン1940)、「アラン・ドロンのゾロ」(ドゥッチョ・テッサリ1975)、「ゾロ」(ピーター・メダック1981)、「マスク・オブ・ゾロ」「レジェンド・オブ・ゾロ」(マーティン・キャンベル1998.2005)他

・イタリアのネオレアリズモ運動は、より軽いタッチのネオレアリズモ・ローザ(ピンク・ネオレアリズモ)となり、(ソフィア・ローレン、ジーナ・ロロブリジーダ、シルヴァーナ・パンパニーニ、ルチア・ボゼー、エレオノラ・ロッシ・ドラゴ、シルヴァーナ・マンガーノ、クラウディア・カルディナーレ、ステファニア・サンドレッリなどの女優が活躍)、そしてまもなくイタリア式コメディが台頭する
•「いつもの見知らぬ男たち」「戦争・はだかの兵隊」「私の友だち」(マリオ・モニチェッリ)
•「みんな帰ろう」(ルイジ・コメンチーニ)
•「アドゥアと仲間たち」(アントニオ・ピエトランジェリ)
•「困難な人生」「追い越し野郎」「怪物たち」(ディーノ・リージ)
•「イタリア式離婚狂想曲」「誘惑されて棄てられて」「蜜がいっぱい」(ピエトロ・ジェルミ)
•「女王蜂」(マルコ・フェッレーリ)
•「裸のチェロ(クロツグミの男)」(パスクァーレ・フェスタ・カンパニーレ)
•「パンとチョコラータ」(フランコ・ブルザーティ)
•「あんなに愛しあったのに」(エットーレ・スコラ)等

・ヌーヴェルヴァーグ元年
•「夜と霧」「二十四時間の情事」「去年マリエンバートで」「戦争は終わった」(アラン・レネ)
•「素直な悪女」(ロジェ・バディム1956)
•「死刑台のエレベーター」「恋人たち」「地下鉄のザジ」「私生活」「鬼火」(ルイ・マル)
•「美しきセルジュ」「いとこ同士」(クロード・シャブロル)
•「あこがれ」「突然炎のごとく」「柔らかい肌」「華氏451」(フランソワ・トリュフォー)
•「獅子座」(エリック・ロメール1959)
•「勝手にしやがれ」「小さな兵隊」「軽蔑」「気違いピエロ」」(ジャン・リュック・ゴダール)
•「黒いオルフェ」(マルセル・カミュ)
•「パリはわれらのもの」(ジャック・リヴェット)
•「オルフェの遺言」(ジャン・コクトー)
•「気のいい女たち」(クロード・シャブロル)
•「ジャンヌ・ダルク裁判」(ロベール・ブレッソン)
•「シェルプールの雨傘」「ロシュフォールの恋人たち」(ジャック・ドゥミ1964.1967)
•「男と女」(クロード・ルルーシュ)等

・(9月00日)米カリフォルニア州モントレーで第1回「モントレー・ジャズ・フェスティバル」開催 毎年9月下旬の金曜日から日曜日までの3日間開催
・(12月24日)東京タワー(333m)一般公開
・ナンシー梅木(ミヨシ・ウメキ)、「サヨナラ」(ジョシュア・ローガン1957)で東洋人の俳優として初めてアカデミー助演女優賞受賞
・ロシアの作曲家ピョートル・チャイコフスキーに因んで名付けられた第1回「チャイコフスキー国際コンクール」開催 冷戦の真っただ中で行われ、ソ連の文化的優位を誇示することが目的だったが、ピアノ部門で米国人、ヴァン・クライバーンが優勝し、米ソ関係に影響も 以降4年おきにモスクワで開催 エリザベート王妃国際音楽コンクール、ショパン国際ピアノコンクールと並ぶ、世界三大コンクールの一つ

・第19回ヴェネツィア映画祭金獅子賞「無法松の一生」(稲垣浩)
・第11回カンヌ映画祭パルム・ドール「鶴は翔んでゆく」(ミハイル・カラトーゾフ)
・第9回ベルリン映画祭金熊賞「いとこ同志」(クロード・シャブロル)
・第32回キネマ旬報ベストワン「楢山節考」(木下恵介)、「大いなる西部」(ウィリアム・ワイラー)
・第31回アカデミー作品賞「恋の手ほどき」(ヴィンセント・ミネリ)、外国語映画賞「ぼくの伯父さん」(ジャック・タチ)
・ボリス・パステルナーク(ロシアの作家)がノーベル文学賞受賞(辞退)
・ドミニク・ピール(ベルギー系ドミニカ人の司祭)がノーベル平和賞受賞