1944

1944年(昭和19年) 

・(1月23日)ノルウェイの画家 エドヴァルド・ムンク(80)、死す
*題材映画「ムンク 愛のレクイエム」(ピーター・ワトキンス1976)

・(1月00日)ソ連赤軍 900日間に及ぶ独軍のレニングラード包囲網を突破、6月には電撃「バグラチオン作戦」でドイツ中央軍集団を壊滅 ナチスドイツに代わりバルカン半島、ポーランド、バルト3国に侵攻し各地で残虐行為
*題材映画「東部戦線1944」(ニコライ・リェビェデフ)、「戦争のはらわた」(サム・ペキンパー1977)、「1944 独ソ・エストニア戦線」(エルモ・ヌガネン2015)、「夜明けの祈り」(アンヌ・フォンテーヌ 2016)
・(3月23日)ナチスドイツ支配下のローマでレジスタンスがナチ親衛隊爆殺テロ ナチスの報復としてアルデアティーネの洞窟で一般市民335人を虐殺
*題材映画「裂けた鉤十字/ローマの最も長い一日」(ジョルジ・パン・コスマトス1973)
・(5月18日)ソ連のスターリン、独ソ戦での対独協力の嫌疑から、クリミア半島(現、ウクライナのクリミア自治共和国)からクリミア・タタール人全住民20万人余りを中央アジアに強制移住

・(3月11日)200年前(1744年)のこの日、世界最古の国際競売会社、「サザビーズ」がロンドンで設立される 世界一の美術品競売会社の地位を争う「クリスティーズ」は1766年12月5日ロンドンで設立

・(6月03日)アルジェでフランス共和国臨時政府成立(ド・ゴール首相)連合軍によるノルマンデイー上陸作戦 パリ開放(8月25日)ドイツ軍占領下での対独協力者(コラボ)への追放、粛清(エピュラシオン)の嵐が吹き荒れる
*題材映画「鉄路の闘い」「パリは燃えているか」(ルネ・クレマン1945.1966)、「史上最大の作戦」(ケン・アナキン、アンドリュー・マートン、ベルンハルト・ヴィッキ1962)、「ルシアンの青春」(ルイ・マル1973)、「最前線物語」(サミュエル・フラー1980)、「針の眼」(リチャード・マーカン1981)、「プライベート・ライアン」(スティーブン・スピルバーグ1998)、「マイウェイ12.000キロの真実」(カン・ジェギュ2011)、「ミケランジェロ・プロジェクト」(ジョージ・クルーニー2013)、「パリよ、永遠に」(フォルカー・シュレンドルフ2014)、「チャーチル ノルマンディーの決断」(ジョナサン・テプリツキー2017)
・(6月04日)ローマ解放 ・(8月11日)フィレンツェ解放

・(6月23日)大噴火が起こり、北海道有珠郡に昭和新山ができる

・(2月00日)日本軍占領中のオランダ領東インド(現在のインドネシア)日本軍人による多数のオランダ人女性監禁・強姦事件「スマラン慰安所事件(白馬事件)」、「フローレス島事件」「マゲラン事件」等同様の事件が続発
・(7月03日)ビルマでのインパール作戦を放棄 当初から補給や制空権の確保を無視した無謀な作戦 7月5日に撤退命令が出たが、撤退途中に飢えと病気で戦病死者7万人
*関連映画「日本戦没学生の手記 きけ、わだつみの声」(関川秀雄1950)、「陽動作戦」(サミュエル・フラー1961)
・(7月07日)サイパン陥落 残された守備隊はバンザイ突撃を敢行し一般邦人1万人と共にほとんどが玉砕 バンザイクリフ等から飛び込み自決をした者、米軍に虐殺された者もいたが、一般邦人の大半は米軍により保護された
*題材映画「ウインドトーカーズ」(ジョン・ウー2002)
・(7月23日)ソ連赤軍(最初に解放された収容所)マイダネク強制収容所を解放 ガス室に詰め込まれ直立したままの無数の死体等を発見 続いてアウシュヴィッツ強制収容所に到着(1945年1月27日)
・(7月31日)仏の作家・パイロット アントワーヌ・ド・サン=テグジュベリ(44)、仏マルセイユ沖で撃墜死
*原作映画「星の王子様」(スタンリー・ドーネン1974)、「星の王子様」(ジャン・ルイ・ギェルマン1983)

・(7月22日)連合国44カ国によりブレトンウッズ協定調印 戦後経済を立て直すための経済システム、米ドル中心の通貨制度が作られ、国際通貨基金(IMF)、国際復興開発銀行(世界銀行)などの国際機関が生まれた
・(8月04日)アンネ・フランク、ナチスの迫害から逃れアムステルダムの隠れ家に一家と共に暮らしていたが、ゲシュタポに発見されアウシュビッツ絶滅収容所へ 転移送されたベルゲン・ベルゼン収容所で、チフスで死んだ姉マルゴットの後を追うように、解放直前の1945年3月に15歳9ヵ月の生涯を閉じる(虐殺される)
*題材映画「アンネの日記」(ジョージ・スティーブンス1959)、「アンネの追憶」(アルベルト・ネグリン2009)

・(8月01日)ポーランド亡命政府の指導で「ワルシャワ蜂起」(17時「時刻W」)国内軍が蜂起するもワルシャワ郊外にまで展開していたソ連軍は傍観 ナチにより鎮圧されワルシャワは壊滅 犠牲者は20万人 70万人が町から追放される その後ワルシャワに入城したソ連赤軍はナチスドイツ軍を駆逐 ソ連の後押しにより「国民解放委員会(ポーランド労働者党)」が台頭し共産主義国家に 帰国したポーランド亡命政府・国内軍はソ連により徹底的に弾圧される
*題材映画「エロイカ」(アンジェイ・ムンク1957)、「地下水道」(アンジェイ・ワイダ1958)、「リベリオン ワルシャワ大攻防戦」(ヤン・コマサ2014)

・(8月05日)オーストラリアのニューサウスウェールズ州カウラの日本人捕虜収容所で1104人の日本兵脱走 死者235人、負傷者108人(カウラ事件)
*題材映画「カウラ大脱走」(クリス・ヌーナン、フィリップ・ノイス1984)、「WAR OF THE SUN カウラ事件-太陽への脱出」(ブラッド・ヘインズ2008)
・(8月22日)「対馬丸」学童疎開輸送中に米潜水艦の魚雷攻撃を受け沈没 犠牲者数1484名
・(9月08日)ナチスドイツがV2ロケットによるロンドン攻撃を開始
*題材映画「クロスボー作戦」(マイケル・アンダーソン1965)
・(9月17日)連合軍によるオランダ奪還(ドイツに進撃するためにオランダ国内の多くの橋と補給基地としての港湾を空挺部隊により奪取)作戦「マーケット・ガーデン作戦」開始
*題材映画「遠すぎた橋」(リチャード・アッテンボロー1977)

・(9月00日)太平洋戦争の激化により台湾人にも徴兵義務が課せられ、軍人・軍属合計21万人が徴用され3万人が戦死または病死した(戦後、国民党は彼ら台湾人日本兵を強制的に徴用し、中国大陸に派遣し赤軍と戦かわせた その後、国民党が敗退すると共産党の捕虜となる また共産党により朝鮮戦争のため派遣され米軍と戦わされた元台湾人日本兵も多い)
*関連映画「戯夢人生」(ホウ・シャオシェン1993)、「雨が舞う~金瓜石 残照~」(林雅行2009)、「台湾人生」「台湾アイデンティティー」(酒井充子2009.2013)、「セデック・バレ」(ウェイ・ダーション2011)、「KANO 1931海の向こうの甲子園」(馬志翔2014)

・(9月27日)仏の彫刻家・画家 アリスティド・マイヨール(82)、死す
*関連映画「ふたりのアトリエ ある彫刻家とモデル 」(フェルナンド・トルエバ2012)

・(10月00日)マッカーサー率いる米軍、フィリピンのレイテ島に再上陸 日本の傀儡政権(第二共和国)に対しフィリピン共産党指導の抗日人民軍(フクバラハップ)と米の援助を受けて結成した反日ゲリラ組織(ユサフェ・ゲリラ)が共闘して活動していたが、米のフィリピン再占領後、第二共和国(フィリピン・コモンウェルス)の残党が再び権力を握る
・(1945年2月3日~3月3日)「マニラの戦い」(太平洋戦争で最大規模の市街戦)敗色濃厚な日本軍による抗日ゲリラと疑われた市民への強姦・虐殺等10万人の市民が犠牲に(マニラ大虐殺)
*題材映画「野火」(市川崑1959)、「マッカーサー」(ジョセフ・サージェント1977)、「野火」(塚本晋也2015)
・(10月25日)「神風」特別攻撃隊が初出陣(1945年1月25日まで45回出撃、3500人以上が出撃)・10月下旬に連合艦隊司令長官から人間魚雷「回天」突撃命令
*題材映画「雲ながるる果てに」(家城巳代治1953)、「人間魚雷回天」(松林宗恵1955)、「肉弾」「英霊たちの応援歌 最後の早慶戦」(岡本喜八1968.1979年)「零戦燃ゆ」(舛田利雄1984)、「北緯15°のデュオ」(根本順善1991)、「月光の夏」(神山征二郎1993)、「ホタル」(降旗康男2001)、「零ゼロ」(井出良英2003)、「出口のない海」(佐々部清2006)、「紙屋悦子の青春」(黒木和雄2006)、「俺は、君のためにこそ死ににいく」(新城卓2007)、「TOKKO/特攻」(リサ・モリモト2007)、「永遠の0」(山崎貴2013)、「風立ちぬ」(宮崎駿2013)

・(12月07日)「昭和東南海地震」(M7.9 死者・行方不明者1223人 前回の巨大地震である安政東海地震から90年ぶり 戦時下地震被害は隠蔽される)その後規模の大きな誘発地震「三河地震」(1945年1月13日 M6.8 死者・行方不明者3432人)、「昭和南海地震」(1946年12月21日 M8.0 死者・行方不明者1464人)等が続く

・(12月13日)抽象絵画の創始者 ロシア出身の画家 ワシリー・カンディンスキー(78)、死す

・(12月16日)西部戦線「バルジの戦い」で、ナチス親衛隊が米人捕虜を虐殺(マルメディ虐殺事件)
*題材映画「バルジ大作戦」(ケン・アナキン1965年)、「Saints and Soldiers(極寒激戦地アルデンヌ~西部戦線1944)」(ライアン・リトル2003)
*関連映画「戦場」(ウィリアム・A・ウェルマン1944)、「攻撃」(ロバート・アルドリッチ1956)、「橋」(ベルンハルト・ヴィッキ1959)、「アルデンヌの戦い」(アルベルト・デ・マルチーノ1968)、「大反撃」(シドニー・ポラック1969)、「レマゲン鉄橋」(ジョン・ギラーミン1969)、「プライベート・ソルジャー」(ジョン・アーヴィン1998)、「パンツァー鋼鉄師団」(ボブ・カールスハー1999)、「ジャスティス」(グレゴリー・ホブリット2002)

・(12月30日)仏の作家 ロマン・ロラン(77)、死す 戦争反対を世界に叫び続け多くの知友を得た 代表作「ジャン・クリストフ」「ベートーヴェンの生涯」

・第17回アカデミー作品賞「我が道を往く」(レオ・マッケリー)