1960

1960年(昭和35年)

・(1月04日)アルジェリア出身の仏の作家 アルベール・カミュ(46)、交通事故死
*原作映画「異邦人」(ルキノ・ヴィスコンティ1968)、「プレイグ」(ルイス・プエンソ1992)、「最初の人間」(ジャンニ・アメリオ2011)、「涙するまで、生きる」(ダヴィド・オールホッフェン2014)

・(1月16日)中野好夫、吉野源三郎らが沖縄資料センター設立
・(1月19日)新安保条約・地位協定に調印「核兵器を積んだ米艦船が日本に寄港したり、朝鮮半島有事で米軍が日本国内の基地から出撃したりする場合には、日本との事前協議は必要ない」との秘密合意はこの時
・(2月13日)フランス、植民地アルジェリアのサハラ砂漠で初の核実験 第4の核保有国に イスラエルの科学者が同席 事実上イスラエルとの共同実験
・(2月18日)冬季五輪(第8回)スコーバレー大会開幕 銀盤の女王は、キャロル・ヘイス(米)

・(3月16日)フランス・スイスの映画監督「ヌーヴェルヴァーグの旗手」ジャン=リュック・ゴダール「勝手にしやがれ」 でデビュー
*監督作品「勝手にしやがれ」(1960)、「小さな兵隊」(1960)、「女と男のいる舗道」(1962)、「カラビニエ」(1963)、「軽蔑」(1963)、「恋人のいる時間」(1964)、「アルファヴィル」(1965)、「気狂いピエロ」 (1965)、「彼女について私が知っている二、三の事柄」(1967)、「中国女」(1967)、「ウイークエンド Week-end」(1967)等々と続く

・(3月21日)南アフリカで「アフリカ民族会議」と「パンアフリカニスト会議」が開催したアパルトヘイト抗議集会に軍隊が発砲 69人が死亡の惨劇に(シャープビル虐殺事件)これを機に、両党は非合法化され、黒人活動家の多くが地下にもぐる
*関連映画「プレトリア刑務所からの脱獄」()

・(4月19日)韓国で学生運動・初代大統領李承晩独裁政権打倒闘争が、盛り上がり辞職(4・19革命)1961年 軍事クーデターで朴正熙が政権につく(5・16軍事クーデター)

・(5月01日)ソ連を偵察飛行していた米の偵察機U-2が撃墜され、偵察の事実が発覚(U-2撃墜事件)パイロットは、東西ドイツの国境(ベルリンのグリーニケ橋)での米ソのスパイ交換で釈放(1962年2月10日)
*題材映画「ブリッジ・オブ・スパイ」(スティーブン・スピルバーグ2015)
・(5月21日)元ドイツ親衛隊(SS)中佐アドルフ・アイヒマン、潜伏先のアルゼンチンからイスラエル諜報特務庁(モサド)により薬で眠らされエル・アル航空でイスラエルに連行される エルサレムで「人道に対する罪」等で起訴され「アイヒマン裁判」絞首刑に(1961年12月15日)
*題材映画「ユダヤ600万の虐殺者 アイヒマン追跡作戦」(R・G・スプリングスティーン1961)、「ナチ・ハンター/アイヒマンを追え」(ピーター・コリンソン1979)、「スペシャリスト自覚なき殺戮者」(エイアル・シヴァン1999)、「ヒトラーの審判~アイヒマン、最後の告白~」(カール・リチャーズ2007)、「ハンナ・アーレント」(マルガレーテ・フォン・トロッタ2012)、「不正義の果て」(クロード・ランズマン2013)、「アイヒマン・ショウ」(ポール・アンドリュー・ウィリアムズ 2015)、「アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男」(ラース・クラウメ2015)

・(5月22日)チリ地震(M8.3~8.5)発生 日本を含めた環太平洋全域に津波が襲い、大きな被害に 三陸海岸に22時間半後の5月24日未明、「チリ地震津波」が襲い 死者、行方不明者142人の大惨事に
・(5月30日)ロシアの作家・反体制運動家 ボリス・パステルナーク(70)、死す「ドクトル・ジバゴ」はソ連では発禁処分(1957年にイタリアで刊行 ソ連での刊行は1987年)1958年にノーベル文学賞の受賞が決定したが、ソ連当局により反対され受賞辞退に渋々同意
*原作映画「ドクトル・ジバコ」(デビット・リーン1966)

・(6月15日)全学連、労働者、一般市民からなるデモ隊が「安保反対」を叫び国会周辺の道路を埋め尽くす 東大生樺美智子さん(22)が警官隊との衝突の中で死亡 アイゼンハワー米大統領の訪日中止、日米新安保条約自然承認(6月18日)、岸首相が退陣表明 ニュースは6月15日を中心とする10日間を「世界を震撼させた10日間」と報じる
*題材映画「日本の夜と霧」(大島渚1960 公開からわずか4日後、上映打ち切りに)、「ANPO」(リンダ・ホーグランド2010) 
*樺美智子「人しれず微笑まん」(遺稿集)「友へー樺美智子の手紙」(書簡集)

・(8月25日)五輪(第17回)開幕・パラリンピック(第1回)ローマ大会 五輪体操女王は、ラリサ・ラチニナ(ソ連) 裸足のマラソンランナー、アベベ・ビキラ(エチオピア)がアフリカ黒人初の金メダル
・アフリカの未独立国17カ国が相次いで独立(1960年) 1951年のリビア王国(イタリアから) 1956年のスーダン(エジプト及び英から) チュニジア・モロッコ(フランスから)に続き 1957年ガーナ(英から) 1958年ギニア(フランスから)さらにほとんどのアフリカ諸国等が1969年まで独立国に「アフリカの鳴動」
1960年の独立国
(フランスから)カメルーン・セネガル・トーゴ・マダガスカル・ダオメ(現在のベナン)・ニジェール・オートボルタ(現ブルキナファソ)・コートジボワール・チャド(その後チャド内戦)・中央アフリカ共和国・コンゴ(現在のコンゴ共和国)・ガボン・マリ・モーリタニア
(ベルギーから)コンゴ(現在のコンゴ民主共和国)その後コンゴ動乱
(英から)ナイジェリア(その後ビアフラ戦争)・キプロス(後にキプロス紛争によりトルコ系住民による北キプロス・トルコ共和国が分離し分裂状態)
(英・伊から)英領ソマリランド・伊領ソマリア独立(後に統合しソマリア内戦に)
1961年~1969年の独立国 
(英から)クウェート・カメルーン・シエラレオネ・ウガンダ・ケニア・マラウイ・ザンビア・ローデシア(少数白人による独立を維持するため、その後英連邦に復帰 1980年に改めてジンバブエとして独立)・ガンビア・モルディブ・ベチュアナランド(ボツアナとして)・南イエメン・レソト・スワジランド
(ベルギーから)ルワンダ・ブルンジ (フランスから)アルジェリア (スペインから)赤道ギニア

・(9月14日)OPEC(石油輸出国機構)結成 石油産油国の利益を守るため、イラン、イラク、クウェート、サウジアラビア、ベネズエラ5ヶ国が原加盟国
・(10月12日)社会党委員長・浅沼稲次郎、立会演説中に右翼少年(17)に刺殺される(少年はその後、少年鑑別所で自殺)この瞬間を撮影した長尾靖(当時30)「浅沼社会党委員長の暗殺」日本人初のピューリッツァー賞写真部門受賞
・(10月24日)ソ連、バイコヌール宇宙基地で大陸間弾道ミサイルR-16の打ち上げ試験時、発射台上で爆発事故が起き120名以上が犠牲に(ニジェーリンの大惨事)
・(11月11日)総評系の労働組合が中心の三井三池闘争終結「総資本対総労働の戦い」といわれ282日間に及ぶも中労委の斡旋で終結 労働側の敗北は労働運動の労使協調路線への転換点に
*題材映画「ひだるか」(港健二郎 2005)

・(12月20日)南ベトナム解放民族戦線結成 越南共産(ベトナムコンサン)略してベトコン
・(12月27日)池田内閣、「国民所得倍増計画」を閣議決定
・ノルウェー人の探検家ヘルゲ・イングスタッドとその妻で考古学者のアン・スタイン・イングスタッドが、西暦1000年頃、バイキングの航海者レイフ・エリクソンが到達した伝説の土地「ヴィンランド」をカナダのニューファンドランド島で発見 コロンブスを遡ること500年以上前の到達を示す住居跡や鉄釘を確認(ランス・オ・メドー考古遺跡)

・民俗学者・農村指導者・社会教育家 宮本常一「忘れられた日本人」刊行 1967年 雑誌「あるくみるきく」創刊 漂泊民や被差別民、性などの問題を重視 柳田國男の学閥からは無視・冷遇される

・(1960年)勝新太郎主演「不知火検校」(森一生1960 共演:中村玉緒)公開
・(1961年)「悪名」(田中徳三 共演:田宮二郎)第1作公開
・(1962年)「座頭市物語」(三隅研次)第1作公開
・(1965年)「兵隊やくざ」(増村保造 共演:田村高廣)第1作公開
・(1967年)勝プロダクション設立
*勝プロ製作映画「燃えつきた地図」(勅使河原宏1968)、「人斬り」(五社英雄1969)、「座頭市と用心棒」(岡本喜八1970)、「無宿」(斎藤耕一1974)他

・第21回ヴェネツィア映画祭金獅子賞「ラインの仮橋」(アンドレ・カイヤット)
・第13回カンヌ映画祭パルム・ドール「甘い生活」(フェデリコ・フェリーニ)
・第11回ベルリン映画祭金熊賞「夜」(ミケランジェロ・アントニオーニ)
・第34回キネマ旬報ベストワン「おとうと」(市川崑)、「チャップリンの独裁者」(チャールズ・チャップリン1940)
・第33回アカデミー作品賞「アパートの鍵貸します」(ビリー・ワイルダー)、外国語映画賞「処女の泉」(イングマール・ベルイマン)
・第2回グラミー賞最優秀アルバム賞「Come Dance with Me」(フランク・シナトラ)
・サン・ジョン・ペルス(仏の詩人)がノーベル文学賞受賞
・アルバート・ルツーリ(南アフリカの政治家)がノーベル平和賞受賞